EXPRESSION

ROPÉ ÉTERNELを作り上げている
様々な事、思い、哲学
それらはディレクターの眼差しを通し
色彩を帯び表現されています。
まるでプリズムを通して浮かび上がる虹のように。
ここではその虹を構成している小さな水滴のような
源の部分を少しずつ綴って行きます。Text & Edit: Yuko Ishizaki / uraku
Photo: AI Tomatsu
Supervision:
ROPÉ ÉTERNEL Director Mayumi Sasaki

VOL. 28

日傘

27 April 2020


幼い頃に見た風景・・・
むせ返るような暑い夏の午後、和装の女性の首すじに写り込んだ日傘のレースの影と、おくれ毛
子どもながら大人の色香にどきっとした記憶。
ディレクターが持ち続けたそのイメージを、ROPÉ ÉTERNELのワードローブへ溶け込むような形で
いつか提案できたら、と考えていました。
2020年初夏、その思いを叶えることができる素材と職人さんとの出会いが
永く愛されるようなこだわりの日傘を生み出しました。
ROPÉ ÉTERNELが提案する日本の伝統技術や職人の手仕事の素晴らしさを
未来へ繋げていこうと取り組む『TE-SHI-GOTO PROJECT』の第4弾です。
スカイツリーの足元、墨田区にある老舗洋傘店「モンブラン」
こちらに東京で8人しかいない東京洋傘の伝統工芸士さんがいらっしゃいます。
今回はその素敵な職人さんのことをご紹介します。

日本で洋傘が本格的に作られ始めたのは明治初期の頃。
黒船が来航した時、船長のハリスが持っていた洋傘が江戸で注目を浴び
優秀な日本の職人さんたちが形にしようと試行錯誤し、彼らの技法で商品化をしていきます。
そうして完成された優美な洋傘は東京洋傘と呼ばれ、その頃から伝わる丁寧な手作業による技法と
天然素材を使用していることが、その名を冠する条件となりました。
この日は最終仕上げ前の確認ということで、伝統工芸士の山口さんと打ち合わせです。
工房に入ると縫製する素材に合わせた色とりどりの糸が目を引きます。
傘を縫製する専用のミシンは、私たちが知っているミシンに比べると小ぶりで可愛らしく、少し意外でした。
さてこれから作業工程を見せていただくことになりました。




「洋傘作りは型が大切、その出来次第でほぼ仕上がりが決まってくる」と言いながら
木製の型を使って裁断しているのは、同じく伝統工芸士の米山さんです。
私たちが訪れた日は作業のお手伝いということで、山口さんと一緒に、工房で作業されていました。
大切というその型は、注文を受け、それぞれのデザインに合わせて職人自らの手で作られます。
ミリ単位の微調整が必要で卓越した技術が求められます。



裁断したら縫製です。先ほどの可愛らしいミシンを使います。
このミシンは下糸がなく上糸だけで、縫いながら三つ巻になるよう巻き込んでいきます。
傘のパーツは丸みを帯びた三角形をしていて
縫い合わせるところはあまり引っ張りすぎると伸びてしまいますので
力加減を調節しながら縫わなければならないのだそうです。
東京洋傘ならではの「関東縫い」という製法を行うのですが、こちらも高い技術が求められます。




縫い合わせたら丁寧に骨へ取り付け組み立てていきます。
今回骨に使用した素材は、昔ながらの鉄製で、その数も通常8本を採用されることが多いのですが
こちらも10本にして傘の造形美にこだわりました。
ROPÉ ÉTERNELの日傘は、中棒(中心の棒)の部分は丈夫な樫の木を
石突きと、手元の部分はぶどうを使用していただきました。
傘を組み立てていく接続部分の細かな細工もとても綺麗です。




取り付けて形のバランスを見たら、10本の鉄骨一本一本に、丁寧に仕上げの糸止めをしていきます。
とても細かな作業ですが、スイスイとリズミカルに留め付けていきます。
今回使用した素材は、日本で織られている高密度で丈夫な亜麻布で、素材そのままの生成りと、インディゴ染め。
もう一つは和装の半衿製造を起源に持つ、東京の老舗レースメーカーさんで
製作していただいた繊細で美しい綿の刺繍レースです。



仕上げた傘のバランスを確認したら手元を取り付けて出来上がりです。
ろくろ巻きという作業を手元に付ける前に行い取り付けます。
傘の骨に沿った緩やかなカーブと、パーツの縁にあたる部分の弓のようにしなやかな湾曲は
手作業でなければ出ない造形美で、力仕事と繊細な技術が必要になります。
試作前にその話を伺い、ROPÉ ÉTERNELならではの曲線を一緒に作り上げていただきました。
すうっとした少しだけ縦長のフォルムとのバランスも美しく
150年近く続く東京洋傘の技術の素晴らしさを実感することができました。




『TE-SHI-GOTO PROJECT』の日傘に使用した特別な素材たち

亜麻布
浜松にある機屋さん、その1軒でのみ織ることのできる、高密度の丈夫な平織りリネンを使用しています。
フランス産の亜麻を使ったこの生地は、
湿度の高い限られた時期にしか織ることのできない希少なものです。


綿刺繍レース布
昭和初期のヴィンテージレースのような繊細な刺繍です。
ダウンジャケットに使えるほど高密度に織られた綿布に
繊細な刺繍を施すには高度な技術が求められます。

*亜麻布と綿刺繍レース布の日傘 32,000tax
(アイテム詳細はこちらから)

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