EXPRESSION

ROPÉ ÉTERNELを作り上げている
様々な事、思い、哲学
それらはディレクターの眼差しを通し
色彩を帯び表現されています。
まるでプリズムを通して浮かび上がる虹のように。
ここではその虹を構成している小さな水滴のような
源の部分を少しずつ綴って行きます。Text & Edit: Yuko Ishizaki / uraku
Photo: AI Tomatsu
Supervision:
ROPÉ ÉTERNEL Director Mayumi Sasaki

VOL. 30

TAMASHIZUME

17 July 2020


世界中で思いがけない災難に見舞われた2020年、私たちにとっては様々な見直しを迫られた上半期となりました。
しかし自然界では何事もなかったように季節は巡り、木の芽は芽吹き、雨の季節を迎え
日も少しずつ長くなり夏至を過ぎ、もうすぐ大暑を迎えます。

昔からこの時期になると私たちは亡くなった人や
ご先祖さまのことを思い出し、様々な祭儀や催しを行ってきました。
1年がちょうど半分終わり、振り返る時期にあたることと、実りや収穫が徐々に始まり
自分たちを見守ってくださる神さまや
ご先祖さまへの感謝を強く感じる時期が重なっているからとも言われています。
裏を返せば、神がかった存在やご先祖さまを敬わないために起きると信じられていた
自然災害や飢饉などを防ぐための、鎮魂や浄化を行う意味も持っていました。

今回ROPÉ ÉTERNELでは、「TAMASHIZUME(たましずめ)」と題し
古来より人々に大切にされてきた、祈りと浄化をテーマにコレクションを展開します。
私たちの生活にとって「行動」と同じぐらい大切な、「思い」をお伝えできたらと思います。
今年上半期に起こったCOVID-19(新型コロナウイルス)の影響に加え
日本では下半期明けてすぐに私たちを襲った、大雨による大規模な自然災害から
私たちが感じ、心の中に留めてしまった不安、悲しみ、痛み、苛立ちなどの様々な感情を鎮め浄化し
亡くなられた方々へは鎮魂と健やかなる魂送りを、そうすることで私たちは
その先にある未来への希望を確かなものと感じ、新たな一歩を踏み出せるのではないでしょうか。




Beach Coat ¥20,800+tax

「TAMASHIZUME」のテーマに合わせて、ご紹介するのは素敵な「こけし」です。
子どものころから一度は目にしたり、お土産などでいただいたことがある
そんな記憶を持たれている方も多いのではないかと思います。
東北地方の郷土玩具、民芸品であるこの「こけし」には様々な思いが込められ、反映されて今に至ります。

今回ご紹介するのは秋田地方の「こけし」、木地山系と分類されるもので
伝統工芸師、柴田良二さんの作品です。
頭と胴を一本の木から作る「作り付け」の技法を用い、きっぱりとした美しいフォルムと
胴模様に、菊、あやめ、彼岸花、なでしこ、しだれ桜などが描かれ彩られたその個性的な姿は
懐かしくもありながらモダンさを感じさせます。
現代のライフスタイルに違和感なく溶け込みそうです。




こけし 各 ¥2,300〜7,000+tax

こけしは、江戸時代中期ごろ、東北地方の湯治場のお土産として生まれ
今の形まで発展していったと言われています。
東北地方にはお椀やお盆仏具や神器などを作る
腕の良い木地師がいたことも大きな要因の一つだそうです。
当時の湯治場は今のような温泉巡りのニュアンスとは違い
農作業など自然に寄り添う重労働の節目に、湯に入り体を癒すと同時に、心を癒し、浄化し
再生を図る儀式のような意味合いを多く持っていました。
そのような場所で、再生した自らの魂の記憶として、また帰りを待つ我が子へ
新たにいただいた自然の恵みからの力の一部を持ち帰る意味合いを含んでいました。


江戸中期に生まれた「こけし」ですが、その原型になるものは今のものとは形は違いますが、
かなり昔からあったようです。
最古の「こけし」(原型)は、奈良時代のもので、木製の塔婆と呼ばれる供養塔で
当時は近畿地方にしかいなかった木地師が手がけていたそうです。
そののち東北地方へ移住した木地師たちの手によってその土地の人々の思いに寄り添い
今の形へと変化していきました。

赤い色を基調にしているのは、「赤もの」といって
古来より魔よけや、疱瘡(天然痘)避けに効くと信じられていたことが重なったのだと言われています。
1300年ほどの時間をかけてゆっくりと、少しずつ人々の思いを映し出し
今の形へと変化して行ったのだと思います。



節目にて湯治場へ赴く行為は少なくとも年に3回は行っていたようで
最も寒い時期、1月末の「寒湯治」、田植えを終えた後の6月ごろの「泥落とし湯治」
そして今回提案させていただく、お盆、大暑と重なる夏の土用のころ、「土用の丑湯治」です。
この時期は、様々な植物が実りを迎え始め
神仏やご先祖さまへの感謝、自らの労いと浄化が重なり合う時期でもあります。

私たちは、「TAMASHIZUME」をテーマに掲げるに至って
季節の変わり目で体を再生させるための土用と、この世とあの世の境目が近くなるお盆
この2つが重なる時期だからこそ、今年上半期に被害を受け
滞ってしまったすべての事象への「たましずめ」にピッタリではないかと考えました。

「こけし」のほかにも、浄化や再生、鎮魂の意味合いを持つアイテムをいくつか取り揃えました。
藍染め絞りを施す時に出る端材を使用したアップサイクルのバッグに、涼やかな江戸色被せガラスの器
梅の木で作られたアクセサリー、箒に櫛など、どれも日々の生活にさり気なく溶け込み
私たちの傍で密やかに輝き、寄り添ってくれるアイテムです。
例えば、ガラスの器に水を張り、お気に入りの花を浮かべて静かな時間を過ごしたり
古来より祭祀の際に邪を祓うと信じられていた藍染めを施したバッグを日常に持ち歩くことで
心の安寧を取り戻したり。

昔から伝わる工芸品は、人々の日々の営みから生まれ、時間をかけて今の形へと完成されてきたものばかりです。
ほんの少しそれらを見つめて、意味や存在を知り
時間を遡り謎解きをしてみることで、魂までも認識することになるのかもしれません。
そんな消化するような行為も、浄化へとつながるのではないでしょうか。


左下から 梅の木の装飾品手鏡 ¥7,500+tax
藍染木綿数奇屋袋 ¥11,000+tax
藍染木綿あずま袋 ¥18,000+tax
山形小箒 ¥3,700+tax
洋服箒 ¥6,500+tax
藍染木綿竹手提げ袋 ¥20,000+tax
梅の木の装飾品髪留め ¥7,000+tax
コーム ¥5,000+tax MACHETE

古来より私たち日本人の生活の中には、自然に対する畏怖と、感謝
そこからいただく力によって様々なものを鎮め、再生させるという行為や願いが込められています。
現代人は溢れかえる情報に左右されすぎて、立ち止まり、向き合い、鎮めるという大切な行為を忘れ
自らストレスフルな状態を抱え込んでしまっているのかもしれません。
今のような状況にこそ、どうぞ自分なりの「TAMASHIZUME」を
自分のため、そして愛する人のために見つけて、行っていただけたらと思います。

そんなちょっとした行動や思いの積み重ねが、より良い未来をかたち作っていくと信じて。

(取り扱い店舗:すべてアトレ恵比寿西館店)


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