SPECIAL SHORT ESSAY

SPECIAL SHORT ESSAY 女を育む、服

エディター・ライター 松本 千登世

ESSAY 09

白をリスペクトする、女たち

婚活を制するのは白、そんな説があるらしい。あるパーティの「潜入取材」をした編集者の友人が、主催者にこう耳打ちされたのだという。

「男性たちはね、白が映える女性は、それだけで無垢で純粋で誠実、そして極上と思うみたい。だから、参加する女性たちには、できるだけ白を着て来てくださいとアドバイスしているんです。白を着るとモテる、結果、成功率が高いってね」。

へーっ、そうなんですね……。表面的には愛想よく相槌を打ったものの、心の中は、ほんの少し不快だった、と彼女。白に頼りさえすれば、清潔感を纏うことができ、女性としてランクが上に見える。そう思った途端に白は濁るのじゃないか。「着るだけでモテるんでしょ?」と甘えて着る白ほど、安っぽいものはない、そういう女性は綺麗になれるわけがない、と彼女。そして最後にひと言、「白を馬鹿にしすぎじゃない?」と、言い放ったのだ。

ただ……。私はむしろ、こんなふうに気軽に手軽に白を着られることをうらやましく思ったのも事実。なぜなら、年齢を重ねるほどに、肌のくすみやたるみ、髪の艶のなさ、体のハリのなさに白がどんどん似合わなくなっていくのを痛感していたし、さらに「汚れるのが嫌」「手入れが難しい」と白を着る緊張感が面倒臭くもなっていたから。あれこれ理由をつけて白を遠ざけているうちに、とうとう白が着られなくなった、みたいな。白が疲れて見える、老けて見える、こうして白を怖がる私も綺麗になれないに違いない……。

甘えても怖がってもいけない。その場にいた女性たちは「わかるわかる」と言い合い、大いに盛り上がった。

女性と白との間には、想像以上に密接な関係があるのだと思う。白は、女を育む色。傍らになくてはならないけれど、同時にリスペクトする気持ちも忘れてはいけない色。そう、私たちは、自分に寄り添ってくれる白を探し、白に寄り添える自分を作り続けなくちゃ。白と自分の良好な関係を構築できる人こそが、極上なのだから……。

ロペの白に触れたとき、これこそが女を育む白だと確信した。肉感のあるローゲージニットとコーデュロイパンツ。ふわりと優しく温かく包み込まれるような質のよさで作られた、大人のリラックススタイルは、まさに、傍らにいたい、でも甘え過ぎてはいけない、絶妙な白。しかも、編み目や織の陰影が白に立体感を生むから、大人の肌や髪にもすーっと寄り添ってくれる。同時に、白を重ね合わせる贅沢は、毎日を丁寧に生きている女性にこそ似合うもの。毎日着たいような、でも特別な時に取っておきたいような……。そう、姿勢から美しくなるのを実感できる白なのである。

もしかしたら、男性たちの「白が映える女性は、極上」は真実なのかもしれない、改めてそう思った。もう一度、自分と白の関係を見つめ直したいと思う。ロペの白なら、一歩踏み出せる、きっと。
松本 千登世

松本 千登世CHITOSE MATSUMOTO

客室乗務員、広告代理店や出版社勤務の経験を経た後、フリーランスの美容ライターに。
自らの経験をもとに語られる、エッセイや美容特集は常に世の女性たちの注目を得ている。
著書に、『美人に見える「空気」のつくり方 きれいの秘訣81』(講談社)や、
『結局、丁寧な暮らしが美人をつくる。今日も「綺麗」を、ひとつ。』(講談社刊)などがある。